ジェノワーズ的転回

スポンジケーキの話。
生地をつくるとき、卵黄・卵白に分けず、全卵で泡立てて仕立てるスポンジを「ジェノワーズ」というらしい。
そのままでおいしい焼き菓子です、風に聞こえます。ケーキ屋さんのつくったものだったらつまみ食いしたいなとは思う。が、はだかのスポンジの話です。

実は、時々自分でつくるスポンジが、、あんまりうまくない。なんかボソボソ…と結構長いこと思っていて、作り方が詳しい本を探していました。
ビレッジバンガードで見つけたのが、オーブン・ミトンの小嶋さんの本。
そういえば、昨年展示をした小金井のシャトー2F、カフェでオーブン・ミトン製のシフォンケーキをいただいた覚えが。ほっこりするおいしさだった…これは頼れるかもと、解説と写真多めの本を手に、ジェノワーズの手順を見直してみました。

ところで、お菓子作りの本でよく目にした説明文。
「ふるった粉を入れたら、へらでさっくりと切るように手早く混ぜる」
この「さっくり」が全然ピンとこないまま混ぜてきましたが、小嶋さん本の方法は、混ぜ方・回数ともに全然違うようでした。
具体的に言うならば、粉入れたあと、80~100回とか混ぜるような話!
半信半疑ながら本に沿って丁寧につくってみたところ、スポンジはなんとか自分でもおいしいと思えるものに仕上がりました。すごい違いだ!

これだけ説明の仕方に開きがあることにはびっくりです。
ここまで、言葉の表現で解釈が変わってしまう。「生地を練らない」ことに関しては二者共通してると感じたんですが。
うちでずっと参照してきた本、「’91」と書いてある20年ものですが、レシピにも時代の流れはあるんでしょうか。あってしかるべきかな。
わたしはカップラーメンの作り方もしっかり守るようなチキンなので、さっくり手早く混ぜろと書かれると、いかに少ない回数で混ぜるかに神経が行き過ぎてしまう人間なのです。完全に逆効果で、混ぜ不足で適度なグルテンが生じてなかったとか、そんなことだったんでしょう。
具体的に混ぜる回数が書いてあったのも良かったのかもしれない。
小嶋さんの本は「おいしい!生地」文化出版局です。

専門書が言うんだから、と従ってしまうことって多くあるけど、こんなこともある。
…というわけで、絵、画材についてもそういうことってないかなあと思い巡らせてみたところ、ありました、ありました。
(これ程の逆転はないかもだけど)「こう言われてるからやらないでいる」ことなど。

プルシャン・ブルーは強過ぎて、染めてしまうからあまり使わない方がいい。

とか、

ジンク・ホワイトは透明度はあるけど亀裂が生じやすい。使いにくい。→別に使わなくても良い。

とか。

長々とジェノワーズの話なんぞしてしまいましたが、どうでしょう。
ペインターの皆さん、プルシャン・ブルー使ってますか?

わたしは高校の時に美術の先生にこう言われて以来、なんだか怖くてあまり使っていません。
身近な絵描く人に聞いても、あまり使わないという人が多いです。
色味自体は割と好きで、アクリルでは似た色を結構使うんですが、油でプルシャン・ブルーというといけないような気がしてしまう。
ただ、その先生に言われたときの自分とは違うわけだし、彼とは絵具の扱い方も違うわけだし、あんまりびびり続けてももったいないかも、と思います。

染めてしまうって、言われた当時はほとんど理解できない表現だったけど、何となく判るようになってきました。
混色した色をくってしまうって意味だと思いますが、もしも無自覚な行動をふくむものだったら、なかなか怖いこと。
この色味で絵をまとめやすくなると感じて、ついついプルシャン・ブルーを混ぜたりグレーズしたりしてしまい、その結果絵全体が染まってしまう、など。
…なんて考えると、むしろこっちが「染まる」と言われている真意かも、と思えてきます。

今描いているものは、このあと描きたい絵のために試したいことを色々しているような感じなので、そんなわけでプルシャン・ブルーも試してみてます。
どうかな?
懐かしの赤青鉛筆の刻印を読んでみたら、赤はバーミリオン、青はプルシャン・ブルーと書いてあることを初めて知りました。
また、震災後はセシウムの吸着なんかで名前を聞くこともありました。
絵描きの間では曲者ですが、わりと世に出ている色ですね。

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